「「同一労働同一賃金」の本質を見誤っている社会」。見誤っているのは社会か?
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「同一労働同一賃金」の本質を見誤っている社会
http://blogos.com/article/204405/
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コメント蘭を見ると、批判的な発言が多かったです。
どうにも同一労働同一賃金の評判は悪いようです。
そもそも反対の人もいれば、賛成の人でも懐疑的な様子なのかもしれません。
「同じ職種であっても、個人には仕事の能力差があるので、1時間に1つの商品しか作れない人と、1時間に2つの商品を作れる人には、賃金差を設けなければならない。なぜか? それが「同一労働同一賃金」というものだからである。同じ職種であれば全て同じ賃金ということになれば、それは「一物一価」の法則に反しており、実質的には「同一労働同一賃金」の目的とは真逆の悪平等な賃金制度になってしまう危険性がある。」
これは同一労働同一賃金ではなく、歩合制(出来高払い)のことではないか?
私の同一労働同一賃金のイメージは、次の通りです。
A氏 1日(8時間)で1つの商品を作る。(仕事が遅い)
B氏 1日(8時間)で2つの商品を作る。(仕事が普通)
C氏 1日(8時間)で3つの商品を作る。(仕事が早い)
商品を生産目標を1日20個とした場合に、B氏が10人いればいいのです。
もしくは、C氏が10人いればいいのです。
A氏が10人いても仕事を完遂できないので、そもそも雇いません。
例えば、C氏が7人いればいいと考えられますが、C氏は技術力が高いため、人員補充が難しいです。
C氏がいることを前提に事業計画は作れません。
例えば、C氏が7人いればいいと考えられますので、それで事業計画を作るとします。C氏が足りないため、B氏を雇ったときに、B氏では実力不足のため現場が混乱します。B氏も実力不足を補うため必死に頑張るでしょうが、技術力を高められるかは人それぞれです。結果的にはブラック企業が生まれます。
例えば、B氏が9人いて、C氏が1人いる場合は、どうでしょうか?
C氏は2個作れば残りの時間が暇になります。私はそれでいいと思っています。
本来、C氏は技術力が高いため、もっと高度な仕事(つまり高い賃金)に就くべきですが、日本の労働市場はイス取りゲームになっていますので、C氏がそのイスに座れるかは運次第です。
イスに座れなければチャンスが巡ってくるまで、我慢するしかありません。
例えば、A氏が20人いれば生産目標は達成できますが、人が増えることで管理費や広い作業場が必要になります。これでは事業計画を作ることが難しくなってしまいます。
これが商品を作る量ではなく、品質の場合でも同じです。
同程度の品質を保たなければなりません。C氏のように品質過剰は不要なのです。
C氏には適材適所があると思います。
つまりは、同一労働同一賃金とは、悪平等なのです。
「仕事が繁忙期にある時、Aが下請けとしてBに仕事を発注し、Bも手が足りなければCに仕事を発注するという関係にある場合、仕事の内容が全く同じであったとしても、普通は仕事を発注する側がマージンを取ることになる。全く同じ1つの商品を作っていたとしても、賃金がA>B>Cになるのであれば、ぞれは「同一労働同一賃金」とは呼べない。」
まぁ、その通りです。
いわゆる日本型雇用の特徴として、「終身雇用」、「年功序列」、「企業別労働組合」があります。(新卒一括採用も日本型雇用の特徴ですが、ここでは省略します)
本来は、同じ職種なら会社が違っても同じくらいの賃金になるはずです。なぜなら、その技術の習得コストや作業に対する時間的コストが同じだからです。
欧州では、産業や職種によって労働組合が組織されますので、日本の企業別労働組合とは状況が異なっています。
このブログで言っていることを実現するなら欧州のように職種毎の労働組合を組織すべきです。そして職種毎の団体交渉を活発化させることです。
もっとも、それは難しいのかもしれません。
「終身雇用」、「年功序列」、「企業別労働組合」のなかで、すでに終身雇用は無くなったと言われています。
しかし、「年功序列」、「企業別労働組合」が残っていますので、政府が言っている「同一労働同一賃金」は、昔ながらの「日本型雇用」と呼ばなければなりません。
つまり「日本型雇用」が労働環境のベースに存在し続けているのです。
コメント蘭にも「同一労働同一賃金」ではなく、格差を改善する対策みたいな名前なら混乱がなかったとありました。
「年功序列」、「企業別労働組合」が残っている限り、「同一労働同一賃金」の実現は不可能です。
しかしながら、現在の日本型雇用を続けていくとしても、終身雇用がなく、ブラック企業が横行していることを考えれば難しいです。
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ベーシックインカムの記事を最近見かけました。
今の社会保障を無くして、ベーシックインカムに集約すれば、色々な無駄も省けるし、各人にはベーシックインカムを配っているのだから、あとは自己責任だと書いてありました。
これは、ベーシックインカムについて、よく言われることです。
もともと人間は不平等に生まれます。人格、知能、身体能力、家族構成、教育環境など様々あります。
不平等だからこそ、社会的弱者に対して社会保障があります。公立の教育機関や公共サービス、医療保険などもそうです。
その社会保障を無くして、皆に同じだけベーシックインカムを配ったら、悪平等になってしまいます。
もともとの不平等が是正されません。
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同一労働同一賃金やベーシックインカムも、それ単体では全てをカバーできないと思います。
私は、「同一労働同一賃金」を労働環境のベースに考えるべきだと思いますが、それを自民党政権にやってほしくありません。
ベーシックインカムについても同様です。
なぜなら、野党の反対意見やネットで問題視されているようなことが、国会で話題にならないからです。
これでは自民党やその関係者が有利になる制度になってしまいます。
さりとて、自民党を支持している人達は75%(与党の得票数25%と投票所に行かなかった人達50%)いるわけです。
「自民党が一番マシ」と言っている人達は、その考え方を疑問に思わないのだろうか?
自民党が政権を取っても、2~3割の人達にしか恩恵がないと思います。
もっと功利主義的に多くの人達が、恩恵を受けるような政治体制にしてほしいです。
(内容が間違っていたらゴメンナサイ)
(◎´∀`)ノ
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