「終身雇用は限界」「経済界は解雇規制をなくしたいだけ」。また、それか。
「終身雇用は難しい」と「経営不振時の雇用維持が難しい」は違う。
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トヨタ社長「終身雇用難しい」発言、解雇規制が緩和される時代がやってくるのか
https://www.bengo4.com/c_5/n_9640/
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「時代が高度経済成長期とは根本的に異なります。高度経済成長期は、20年、30年先も未来はより成長していると考えていましたし、実際そうなってきました。
しかし、先行きが不透明で経済状況も自社の将来についても、誰もわからない、けれど必死でなんとか頑張っている中で、どんな企業が終身雇用を保障できるのでしょうか。
いま大事なことは、一社での終身雇用ではなく、社会全体で終身雇用されるような、人材移動の負担軽減や、日本全体で見た労働力の最適配置となるような雇用法制でしょう」
まぁ、分かる。
「全体で沈没してしまうのは非常に怖いことです。先行きが見通せない時代に突入する中で、高度経済成長期の幻想をずっと引きずっても、前向きな流れにはつながりません。」
「全体で沈没してしまう」、よくあるフレーズだ。不安を煽っているように見える。
「まずは、解雇の金銭解決の法制度からでしょうね。これは、解雇をめぐる紛争が起きて、裁判で解雇無効などと判断された労働者に対して、会社がお金を払って、解決を図るという仕組みです。
申し立てを使用者側に認めるか、水準は、裁判のみの利用とするかなど、様々な法的論点が検討されています。
これまで解雇規制に触れることはタブー視されていましたが、こうした法技術的論点の検討が進むだけでも一歩前進なのでしょうが、スピード感を持って進めて欲しいと思います」
不安を煽って、金銭解決の解雇を提案している。また、この話しか。ウンザリする。
企業が金銭解決の解雇したいだけ。
ポイントは、企業は解雇する人を選びたいということ。そう読み取れる。たぶん、この点は譲らないだろう。
反対に労働者は解雇する人を選ばせてはダメということ。この点を譲ってはダメだろう。
追い出し部屋や、執拗な面談で退職に誘導する行為を考えれば、そのように想定できる。
終身雇用が難しいとは、50代や60代以上の労働者を解雇したいと言っているようなもの。
これは年功序列の弊害とも言える。現状、20代や30代を解雇する理由が見つからない。
(もちろん、勤務態度の不良などによる解雇は別である)
例えば、外国ではレイオフがある。これは勤務期間の短い者から、一時解雇するものらしい。業績回復して新たに雇い入れるときは、一時解雇したものを優先するらしい。
つまり、レイオフする労働者を企業に選ばせていないことになる。そして、雇入れるときにも自由に雇入れさせていないことになる。
企業には、企業への貢献が少なく企業への愛着が少ない「勤務期間の短い者から解雇しろ」と言ってやればいい。
これで、この話しは頓挫するだろう。
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終身雇用をやめれば、雇用改革は進むのか? トヨタ社長、経団連会長の相次ぐ発言から
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20190517-00126301/
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「終身雇用への期待が崩れれば、日本でも「囲い込み」ができなくなり、競争力の源泉は失われる。自社のために献身的に努力しても意味がなくなり、労働者はその企業でしか役に立たない技能の習得を避けようとするだろう。
さらに危険なのは、高度な専門性を持つ技術者がますます高収入の外資系企業に流出してしまうという事態だ。単年度で見れば、日本のトップ企業も、もはや成果主義の海外企業より賃金が低い。
終身雇用と年功賃金、退職金などの「安定」があるからこそ、優秀な技術者たちが日本企業にとどまり続けてきた。実際に、大リストラが行われた企業では、多くの人材が海外に流出し、技術も拡散してしまっている。」
これが問題だろう。どうするのだろうか。
「本当に解雇規制緩和をすれば、「ジョブ型雇用」への移行が実現できるのだろうか。
重要なのは、解雇規制の緩和によって「自然と」雇用システムの改革が進むわけではないということである。実は、解雇を自由化すればブラック企業がなくなるという考えは、そもそも誤りなのである。」
上記にも書いたが、解雇規制を緩和しても年功序列なのだから、50代や60代を解雇して、賃金カーブが低い20代や30台を、どんどん雇い入れるだけだろう。当然、このシステムでブラック企業は暗躍する。
「最後に、ジョブ型社会への移行には、企業を超えた職種や産業別の労働運動が不可欠だという点を指摘しておきたい。
すでに述べたように、終身雇用を壊してもジョブ型にはならない。同様に、「年功賃金」を壊しても、自然とジョブ型になることはない。」
「終身雇用難しい」や「解雇の金銭解決」、「ジョブ型」が、関連しているように見えない。
年功序列とジョブ型は企業の自治なのだから、企業自身が変わればいいだけ。
終身雇用は70歳までの雇用を求められるのだから、企業としては困ったことになるだろう。
しかし、解雇の金銭解決が解禁されれば、70歳までの雇用は、形骸化して醜悪なものになるだろう。
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